「FIREしたいけれど、結局いくらあれば足りるのか分からない」——多くの記事は「年間支出の25倍」と書いています。しかし、その"年間支出"を正確に出すこと自体が、実はいちばん難しい作業です。
家計簿アプリで毎月の収支を把握していても、次の3つは解決しません。
- 費目別(食費・日用品…)には集計できても、「FIRE後も絶対に必要な額」がいくらなのか分からない
- いま出ている支出には、旅行や塾代のように一過性のものや、FIRE後にはしなくなるものが混ざっている。「現時点の生活」の延長で逆算するので、必要資産が大きくなりすぎて現実味がない
- 1年分の明細を手作業で仕分けるなんて、考えただけで挫折する
支出を「①生きるための支出」と「②生活を豊かにするための支出」の2つに分け、①の年額からFIREを逆算する——これが近道です。 そして、その面倒な仕分け作業こそClaude Codeに任せられます。
なぜ2分類が有効なのか。それは、FIRE後に「資産所得で必ず賄うべき額」は①だけで、②は働き方しだいで調整できるからです。
ここで意識しているのが「サイドFIRE」という考え方です。完全FIRE(生活費の全額を資産所得でまかない、まったく働かない状態)はハードルが高い。一方サイドFIREは、①だけを資産所得でカバーし、②は自分の労働でまかなう形を目指します。①さえ資産所得で賄えていれば、②のための労働は「お金のための我慢の仕事」である必要がなくなります。収入の多さより、好きなこと・苦にならないことを優先して働ける——これがサイドFIRE最大の魅力です。だからこそ、自由な働き方の土台になる「①の金額」を正確に知ることが、出発点になります。
完全FIREは「働かない」かわりに巨額の資産が要る。サイドFIREは①さえ資産所得でまかなえれば、②は“お金優先でない働き方”で補える。だから①の金額を知ることが出発点
本記事では、私がClaude CodeにMoneyForwardの明細を自動取得させ、自分専用ルールで①②に仕分けした実体験を、実データつきで紹介します。1年分(約1,000件)を約1時間で集計し、サイドFIREに必要な金額を逆算するまでの流れです。
※本記事は個人の体験談です。FIREの可否や必要額は家庭ごとに異なり、税制も含め最終的な判断は自己責任となります。Claude Codeの機能は2026年6月時点の内容に基づきます。
この記事でわかること
- 費目別家計簿ではFIRE設計ができない理由と、「①生存費/②豊かさ費」の2分類という代替案が分かる
- MoneyForwardの明細をClaude Codeに自動取得・自動仕分けさせる具体的な流れが分かる
- 1,000件の明細を扱いながら、自分が判断するのは数十の費目だけで済む仕組みが分かる
- 1年分の実データから見えた「FIRE設計で見るべきポイント」と、サイドFIREの逆算方法が分かる
- AIに家計データを渡すときの安全な線引きが分かる
なぜ普通の家計簿(費目別)ではFIRE設計ができないのか
費目別の家計簿は「節約のため」の道具であって、「FIRE設計のため」の道具ではありません。
理由は、費目別集計が「何に使ったか」しか教えてくれない点にあります。FIRE設計で本当に知りたいのは「何に使ったか」ではなく、「FIREした後も払い続けなければならない額はいくらか」です。この問いに、食費・日用品・趣味……という費目の並びは答えてくれません。
たとえば家計簿に「外食費 月3万円」と並んでいても、そのうちどこまでがFIRE後も必要な支出なのかは、費目という切り口では判定できません。塾代が月5万円かかっていても、それは子どもが独立すればゼロになります。費目をいくら細かく見ても、「絶対に必要な額」と「ゆとりの額」が混ざったままなのです。
だからFIRE設計には、費目とは別の切り口——「その支出は、生きるために必要か。それとも生活を豊かにするためのものか」——という分け方が要ります。
支出を2つに分ける——①生存費と②豊かさ費
結論として、私は支出を次の2つに分けています。
- ①生きるための支出(生存費):これがないと生活が成り立たない支出
- ②生活を豊かにするための支出(豊かさ費):なくても生きてはいけるが、人生を充実させる支出
この「支出を2つに分ける」という考え方は、両学長のリベ大(リベラルアーツ大学)/リベシティで紹介されている家計管理の考え方の一つです。価値ある学びを提供してくださっていることに、まず感謝を記しておきます。
ひとつ補足しておくと、リベ大で近ごろ中心的に紹介されている家計管理の整理は、この2分類とは別のものです。本記事は「FIRE設計に使う」という目的からこの2分類を採っていますが、「リベ大の家計管理といえばこの2分類」というわけではありません。家計管理そのものを学びたい方は、リベ大の最新の発信をご確認ください。
FIRE後に資産所得で必ず賄わなければならないのは①だけです。②は「どこまで働くか」で調整できます。この違いが、そのまま必要資産の差になります。ここから2つの型が見えてきます。
- 完全FIRE:①+②の全額を資産所得で賄う(必要資産が大きい)
- サイドFIRE:①を資産所得で賄い、②は軽い労働(サイドワーク)で稼ぐ
支出を①②に分けると、FIREの型(完全FIRE/サイドFIRE)が設計できる。まず①の金額を知ることが出発点
つまり、出発点は「①の年額がいくらか」を正確に知ることです。これさえ分かれば、自分がどの型を目指せるのかが見えてきます。
なぜClaude Codeなのか——1つの支出を①と②に按分できる
①②の仕分けで難しいのは、費目をまるごとどちらかに振り分けられない支出があることです。1つの支出の中に、生きるための分と豊かさの分が同居しています。
これを解くには、費目単位で「①か②か」を選ぶのではなく、1つの費目の金額を①と②に割る必要があります。私の家計では、次のような費目でいつも判断に迷いました。
- 外食:材料費だけなら自炊と同じ(生存)。でも大半は「外で食べる体験」への対価(豊かさ)
- こづかい:通勤交通費や昼食代(生存)と、趣味の出費(豊かさ)が混ざる
- ATMの現金引き出し:引き出したあとの使い道が、家計簿の明細からは追えない
- ふるさと納税:支出の大半は税金(主に翌年の住民税、一部は所得税の還付)の前払いで、家計から出ていく「生活費」とは性質が違う。一方で届く返礼品は実際の支出にあたり、①か②かは中身による
- 車関連:地方で生活に必須なら生存寄り、レジャー用途なら豊かさ寄り。住んでいる場所や子どもの年齢で答えが変わる
これらは「店名がこうなら①」という単純なルールでは分類できませんし、どちらか一方に寄せると実態からずれます。「外食は①3割・②7割」のように、割合を決めて按分するのが現実的です。そこで私はまず目的を伝え、Claude Codeに自動で判別させました。その結果を確認しながら、「ここはこう直したい」と按分も含めて会話で詰めていきます。
そして、ここがこの方法のいちばん助かる点です。私が判断するのは費目の一覧(今回は47行)だけで、その判断を12ヶ月・約1,000件の明細に当てはめて金額を積み上げる作業は、すべてClaude Codeがやってくれます。数十の判断で、1年分の集計が出てくる——これがClaude Codeを使う最大の理由でした。
同じ費目でも、使った文脈で①と②に分かれる。「店名がこうなら①」では決められないからこそ、文脈を読めるAIが活きる
MoneyForwardだけでも近いことはできる。でも——
正直に言えば、MoneyForward ME単体でも似たことはできると思います。大分類を読み替えて、自分なりのルールを作り込んでおけばよいのです。たとえば「生存にかかるお金はすべて食費、豊かさにかかるお金はすべて趣味費」と決めて一度振り分けておけば、次回から同じ文言の明細は自動で同じ分類が適用されます。
ただ、この方法には欠点が2つあります。
1つは、1つの費目を①と②に割れないことです。費目を丸ごとどちらかに寄せるしかないので、外食のように「3割は①・7割は②」という分け方ができません。
もう1つは、本来の費目(食費・通信費・趣味費…)が①②の都合でゆがんでしまい、一般的な家計簿として「何にいくら使ったか」を分析できなくなることです。食費の中に住居費や保険まで混ざっていたら、家計簿としては使いものになりません。
その点この方法のいいところは、MoneyForward側は通常どおりの費目分類を保てることです。その費目をClaude Codeでもう一段①②に分けるので、家計簿としての分析(費目別)と、FIRE設計のための分析(①②別)を両立できます。ここがこのやり方のいちばんの魅力だと感じています。
マネーフォワードへの支出登録の考え方——分類の精度は入力時点で決まる
先に、いちばん大事な前提をお伝えします。この方法がうまくいくかどうかは、AIに頼む前の「マネーフォワードにどう登録しているか」でほぼ決まります。
理由は単純で、①②の判断を費目の単位で行うからです。費目の切り方がその支出の性質を表していなければ、①か②かを決めようがありません。逆に言えば、登録の時点で性質が分かるように分けてあれば、あとはその一覧を見て判断するだけで済みます。集計そのものより、このデータ整備のほうが大事だと改めて思いました。
我が家の例でお話しします。共働きなので、妻の手間を減らすために、私が子どもたちを連れて外で食事をすることがよくあります。この食事を、お店でする外食は「レジャー」に、コンビニなどで買ってくるものは「食費」という大項目に分けて登録しています。そのうえで、さらに中項目で他の支出と区別しています。こうして、ある程度は中項目レベルで「どういう性質の出費か」が分かるようにしておく。これが土台になります。
逆に、細かくしすぎない支出もあります。買い物は妻が中心なので、私が取得できるのは「どこでいくら買ったか」だけです。スーパーで買ったものは生存費にあたる食費が中心でしょうが、お菓子やお酒のような嗜好品、つまり豊かさ費の部分も含まれているはずです。でも、そこは明確に分けていません。マネーフォワードの情報は支払いの単位でまとまっているので、1回の支払いをさらに分解するところまではやっていないのです。
つまり、線引きはこうなります。
- 追える単位までは分ける:外食とコンビニのように、性質が違うと分かっているものは登録の時点で分けておく
- 追えないものは追わない:スーパーの1回の買い物を食品と嗜好品に割るようなことはしない
ここで注意点をひとつ。この方法は、「大体こういうものは、こういう分類をしているな」と自分で分かっていないと難しいかもしれません。AIが決めてくれるのは最初のたたき台までで、最後に「これは②だ」と決めるのは自分だからです。逆に言えば、家計簿を自分でつけている人なら、その感覚はすでに持っているはずです。
やってみた——目的を伝え、AIと対話しながら仕分ける
最初に流れをお伝えすると、12ヶ月分の明細を取得し、それを費目(大分類×中分類)の単位にまとめてから①②に仕分けました。約1,000件の明細の取得から分類・集計までは、約1時間で完了しています。手作業なら丸一日仕事だったはずです。
ここで一番お伝えしたいのは、自分が判断する対象は明細ではなく費目だということです。今回、私が目を通して①②を決めたのは47行。明細1,000件を1件ずつ見たわけではありません。明細をどの費目に入れるかは、マネーフォワードに入力する時点ですでに決まっているからです。
明細の取得から①②分類・集計までの4ステップ。自分が判断するのは47行の費目だけで、約1,000件の明細への当てはめと集計はAIが行う
手順1:明細を自動取得し、費目ごとにまとめる
まずClaude CodeにMoneyForwardの家計明細を読み取らせました。頼んだのは、これだけです。
「MoneyForwardの家計簿(入出金)から、先月末までの12ヶ月分の明細を取ってきて。日付・内容・金額・大分類・中分類を一覧にして」
月をさかのぼって12ヶ月分(約1,000件)まで自動で収集してくれます。CSVを手でダウンロードしたり、画面をコピペしたりする作業は不要でした。
取得できたら、これを費目(大分類×中分類の組み合わせ)ごとの合計にまとめます。我が家の12ヶ月分はこれで47行になりました。以降の①②の判断は、この47行に対して行います。
ただし補足すると、明細の取得は「AIにブラウザを操作させて、画面に表示されている明細を読み取らせる」方式です。事前に必要なのは、Claude Codeからブラウザを操作できるようにする連携設定と、その接続を許可する操作の2つ。あわせて、MoneyForwardには自分でログインしておきます(ログインまわりの扱いは後半のセキュリティの節で詳しく書きます)。
誰でも今すぐ一発で、というほど手軽ではありません。ある程度の初期設定を済ませられる人向け、という難易度感は正直にお伝えしておきます。
手順2:細かいルールではなく「目的」を先に伝える
ここがポイントです。私は最初から細かい分類ルールを渡したわけではありません。まず「支出を①生きるための支出と②生活を豊かにするための支出に分けたい。目的はサイドFIREに必要な①の金額を知ること」という狙いを伝え、まずはClaude Codeに費目ごとの自動判別をさせました。
手順3:費目の一覧を確認し、対話で精緻化する
次に、その分類結果を費目の一覧で出してもらい、一つずつ「この判断で合っているか」をチェックしました。気になったものは、「これは②に直して」「外食は原価3割の考えで①と②に按分したい」というように、希望を会話で伝えながら修正していきます。
47行のうち、実際に直したのは10〜20件でした。あらかじめマネーフォワード側の分類を整えておけば、もっと少なくて済みます。ただ、車関連のように人によって答えが変わる費目は、どうしても自分の判断が要ります。
こうして対話を重ねるうちに、“自分専用の分類ルール"が固まっていきました。最終的に落ち着いたルールがこちらです。
| 分類 | 主な費目 |
|---|---|
| ①生存費 | 食材(自炊)・電気・水道・ガス・通信・固定資産税・日用品・衣服・クリーニング・交際費・プレゼント代・雑費・子育て用品・子供服・電車・宅配便・住宅修繕(みなし積立) |
| ②豊かさ費 | 旅行・塾・習いごと・学費・生命保険・書籍・レジャー・車関連(ガソリン/駐車場/自動車税/自動車保険/車検/ETC/洗車) |
割り切れない費目は、按分ルールに落ち着きました。
| 費目 | 扱い |
|---|---|
| 外食(趣味・娯楽に計上した分) | 外食産業で一般に目安とされる原価率3割という考え方から、食材相当の3割を①、残る7割(外で食べる体験への対価)を②に按分 |
| 外食(食費に計上した分) | ①②半々 |
| こづかい(夫) | 各月2万円までを①、それを超えた分を② |
| ATM現金引き出し | ①②半々 |
| 家具・家電 | ①②半々 |
| ふるさと納税 | ①3割(食費等に回る分)・残り7割は集計から除外 |
| 住宅ローン返済 | 集計から除外。代わりに修繕費のみなし積立として月2万円(年24万円)を①に加算(理由は後述) |
| 振替・クレカ引落し・収入 | 支出の把握には不要なため計算対象外 |
手順4:決めたルールで12ヶ月分を集計する
ルールが固まっていれば、あとは「このルールで12ヶ月を①②に分類して、年間で集計して」と頼むだけです。費目ごとに決めたルールが約1,000件の明細すべてに当てはめられ、按分の計算まで済んだ状態で集計表が出てきます。手作業の山を、ほぼ待ち時間だけで越えられた感覚です。
なお、いきなり12ヶ月分でやっても、1ヶ月分から試しても、最後にやることは同じです。1ヶ月分なら費目の行数がさらに減るので、「まず感触をつかみたい」という場合は1ヶ月から始めるとハードルが下がります。私も最初にこの方法を試したときは、1ヶ月分から始めました。ただ、今回あらためて分類ルールを見直したときは、12ヶ月分をまとめてやり直しています。
迷った費目と、私がそう決めた理由
同じ費目でも、どちらに入れるかは家庭ごとに変わります。参考までに、我が家で判断が分かれた3つを挙げておきます。
- 生命保険は②にしました。いわゆる子どもの教育費のためのものですが、教育費は貯蓄で賄えるような状態です。そのため豊かさ費にしました。そういう状態なら、そもそも保険をやめればよいという話になりますが、家族が不安になるため続けています
- 車関連はすべて②にしました。我が家は東京にあり、公共交通機関が発達しています。子どももすでに小学校高学年になり、車は贅沢品だという認識があるからです。地方にお住まいなら、同じ費目が①になるはずです
- こづかいは月2万円までを①にしました。通勤交通費や昼食代が含まれるためですが、それを超える分は趣味の出費とみなし、厳しめに②へ振っています
ここに正解はありません。自分がどういう暮らしを続けたいかで決めるものだと考えています。
我が家の1年を分析してわかったこと
集計期間は2025年6月〜2026年5月の12ヶ月。金額はすべて「計算対象支出」(振替・クレカ引落し・収入を除いたもの)から、さらに住宅ローン返済と、ふるさと納税のうち税の前払いにあたる7割を除いたものです(それぞれの理由は後述します)。結論として、年間の姿は次のとおりでした。
| 項目 | 年間 | 月平均 |
|---|---|---|
| ①生存費 | 約313万円 | 約26万円 |
| ②豊かさ費 | 約305万円 | 約25万円 |
| ①+② | 約618万円 | 約51万円 |
| 比率 | ①50.6% / ②49.4% | — |
ひとつ断っておくと、①には修繕費のみなし積立(月2万円・年24万円)を含めています。これは実際に支払った金額ではなく、持ち家の維持費として積んでおくべき額を自分で置いたものです(理由は「気づき②」で書きます)。
参考までに、この支出を一般的な家計簿の費目(大分類)でも見てみます。内側が①②の割合、外側が大分類です。外側の色は、その費目が①寄りか②寄りかを表しています。緑系は①生存費が中心の費目、オレンジ系は②豊かさ費が中心の費目。灰色は現金・カード(ATM引き出し)だけで、これは使い道が追えず①②を半々に按分しているため、どちらの色にもできませんでした。
内円=①②の割合、外円=家計簿の大分類。緑系は①が中心の費目、オレンジ系は②が中心の費目、灰色は使い道が追えず半々に按分した現金・カードのみ。最大は食費、次いで教養・教育(塾・習いごと)。住宅が小さいのは住宅ローン返済を集計から除いているため
費目別に見ると、最大は食費(22.7%)、次が教養・教育(19.4%)でした。我が家の「子ども3人+教育重視」という形が、そのまま数字に出ています。
正直な自己分析
まず正直に認めると、①も②も含めて支出は全体的に多めです。そのうえで、グラフの費目を見ていくと、我が家の暮らし方がそのまま数字に出ていました。
- 食費(①②合計)が最多で、家計の22.7%。背景には我が家の事情があります。共働きで、平日は妻に家事を任せきり。その分、土日は妻の一人時間を確保するため、子どもを連れて私(夫)が出かけることが多く、コンビニ・スーパーの中食(食費)が増えます。これに土日の外食(趣味・娯楽に計上、年間で約5.8%)も重なり、“食まわり”だけで家計の3割近くを占めています
- 教育費(塾・習いごと・学費=教養・教育)が19.4%。中3・小6・小5の子ども3人ぶんの費用で、全額を②豊かさ費に入れています。②の最大項目です
- 住宅は3.9%。これは住宅ローンの返済額を集計から外しているためで、一般的な住居費の目安(手取りの2〜3割と言われます)と比べられる数字ではありません。ローンを外した理由は次の章で書きます
これらを「無駄遣い」と切り捨てるつもりはありません。我が家にとって教育や家族での体験は、大事にしたい価値観そのものだからです。重要なのは金額の多寡ではなく、見える化したことです。「何にいくら使っているか」を把握したうえで、納得して使っている。それで十分だと考えています。
なお、ふるさと納税は「3割を①(食費)に入れ、残り7割(約8.5万円)は集計から除外」という扱いにしています。3割を食費としたのは、我が家の返礼品の主がお米だからです。お米は生活に欠かせない食材なので、その分は①に算入しました。残りの7割を除外したのには理由があります。ふるさと納税は「自己負担2,000円を除けば、寄附額が所得税の還付・住民税の控除で戻る」仕組みです。つまり、本来払う税金を別の形で先に出している性質が強いお金です。これを①としても②としても丸ごと数えてしまうと、支出の実態がゆがんでしまうのです。
実践で見えた2つの気づき
数字を眺めて、FIRE設計で見るべきポイントが2つ見えてきました。
気づき①:現金は使途が追えない
我が家では、妻が使う店に現金しか使えないところが一定あり、ATMの現金引き出しがそれなりの金額になります。ところが引き出した後の使い道は、家計簿の明細からは追えません。だから「①②半々」と按分するしかありませんでした。
実際には妻が別に家計簿をつけているので、そこまで見れば中身は分かります。それでも、人手を挟む以上ここだけは自動化しにくい——これが今回いちばん実感したことでした。キャッシュレス化が進むほど、分類の精度も自動化のしやすさも上がります。
気づき②:住宅ローンは集計から外し、代わりに修繕費を積んだ
住宅ローンの返済額は、素直に考えれば「住む場所を確保するための支出」として①に入ります。しかし今回は、返済額79.6万円を集計からまるごと外しました。理由は、直近で大幅な繰り上げ返済をしており、間もなく支払いがなくなるからです。FIRE後も払い続ける支出ではないものを①に入れておくと、必要資産を実態より大きく見積もってしまいます。
ただし、ローンが終わっても持ち家の維持費は発生し続けます。そこで、修繕費のみなし積立として月2万円(年24万円)を①に加えました。ローンは消えても屋根や外壁は傷むので、そのぶんは残す、という考え方です。
この差し引きは、必要資産にそのまま効きます。
- 返済額79.6万円を外し、修繕費24万円を足すので、①は差し引き年約56万円下がる
- 4%ルールで逆算すると、必要資産にして約1,390万円ぶん(約56万円 ÷ 4%)の差
住宅ローンをどう扱うかだけで、必要資産は1,000万円単位で動きます。なお、繰り上げ返済で完済を早めるか、その資金を投資に回すかは別の判断になります(繰り上げ返済と投資どっち?配当で住宅ローンを賄えるか金融SEが試算 で試算しています)。
このように「割れる判断」(外食・ふるさと納税・こづかい・現金)が多いほど、按分の手作業は増えます。費目ごとにルールを一度決めれば、それが約1,000件の明細すべてに当てはめられ、按分の計算まで通る——ここがAIに任せる価値です。
①が分かれば「サイドFIREにいくら必要か」が逆算できる
結論として、①の年額が分かれば、FIREに必要な資産はシンプルな計算で逆算できます。
我が家の①生存費は年約313万円、②豊かさ費は年約305万円でした。この2つを使って、「完全FIRE」と「サイドFIRE」で必要資産がどれだけ変わるかを比べてみます。
先ほどの表は万円未満を丸めていますが、ここでは端数を含めた金額(①3,129,495円・②3,049,481円)で計算します。ご自身で試すときは、丸める前の金額を使ってください。
なお以下で使う「配当(税引後手取り3.2%想定)」は、税引前4%の配当を、配当にかかる約20.315%の課税を引いたあとの手取りに直した水準です(4% ×(1−20.315%)=約3.19%)。ご自身の想定利回りが違う場合は、その数字に置き換えて計算してください。
完全FIRE(①+②の全額を資産所得でまかなう)
- 賄うべき額:①+② = 6,178,976円
- 4%ルール:6,178,976円 ÷ 4% = 約1億5,447万円
- 配当(税引後手取り3.2%想定):6,178,976円 ÷ 3.2% = 約1億9,309万円
サイドFIRE(①は資産所得、②は労働でまかなう)
- 資産所得で賄うのは①の3,129,495円だけ
- 4%ルール:3,129,495円 ÷ 4% = 約7,824万円
- 配当(税引後手取り3.2%想定):3,129,495円 ÷ 3.2% = 約9,780万円
②を労働でまかなう前提にするだけで、必要資産は完全FIREの約1億5,447万円から約7,824万円へ、約49%下がりました(4%ルール基準)。差額は約7,624万円です。「全部を資産でまかなう」のではなく、「足りない②は働いて補う」。そう考えるだけで、ゴールはぐっと近づきます。これがサイドFIREの設計です。
緑=①(資産でまかなう)/オレンジ=②(労働でまかなう)。サイドFIREは“緑の部分”だけで済み、②ぶんの約7,624万円の資産が不要になる(4%ルールで試算)
ただし正直に言えば、我が家の場合はサイドFIREでも7,800万〜9,800万円が必要で、これはこれでなかなか高いハードルです。支出が多めの我が家ならではの金額とも言えます。逆に言えば、①を下げるほど、このハードルはさらに下がっていきます。
もう一点、補足しておきます。②の約305万円ぶんを「労働でまかなう」と一言で言っても、これは片手間の軽作業で出せる額ではありません。我が家の場合、現実的には夫婦二人で分担して賄うイメージになります。しかも配偶者が働く場合、社会保険料の負担で手取りは額面より減ります。②を賄うには、その減る分まで見込んで稼ぐ必要があります(106万円の壁撤廃|手取りはいくら減り年金はいくら増える? )。それでも「軽い労働」と言える水準にするには、やはり②をどこまで納得して抑えられるかが効いてきます。
なお、ここで使った数字はあくまで前提つきの概算です。4%ルールは米国株を中心とした過去データに基づく目安で、将来を保証するものではありません。配当利回りや税率も状況で変わります(配当で賄う側の実際の中身は高配当株ポートフォリオ公開2026|102銘柄・なぜこの配分にしたか で公開しています)。「必ずこの金額で大丈夫」という話ではなく、自分の①を起点に距離感をつかむための物差しとして使ってください。
⚠️ AIに渡すデータの線引き(セキュリティ)
便利な一方で、ここははっきり線を引いておく必要があります。AIに渡してよいのは「家計の中身を分類するために必要な情報」だけです。
- 渡す:明細の日付・金額・店名・費目(①②分類に必要な範囲)
- 渡さない:口座番号・カード番号・パスワード・氏名・残高
ログインについても補足しておきます。MoneyForwardへのログインは自分で行い、AIには「すでにログインした状態の画面」を読ませるだけです。IDやパスワードをAIに渡す場面はありません。
そして作業は手元(自分のPC)で完結させ、分析結果を外部に保存・公開しないことが前提です。家計データは立派な個人情報です。「分類に必要な最小限だけ」という原則を守れば、リスクを抑えながら活用できます。判断に迷うデータは、渡さない側に倒す。これが安全です。
完璧を目指さない運用のコツ
最後に、続けるためのコツを。結論は「完璧を目指さないこと」です。
- 分類は8割合っていればOK:1件ずつ厳密に正解を求めると挫折します。全体の傾向がつかめれば、FIRE設計には十分です
- 細かくしすぎない:たとえば私は食費の中身も少し分類していますが、食費は全部①としてしまうのも「アリ」だと思っています。分ける手間に見合う発見があるかで決めればよい話です
- 頻度は基本「年1回」でいい:一度仕組みを作ってしまえば、毎月見直す必要はありません。年に1回、その年の①を把握する程度で十分だと考えています。まだ1年ぶんのデータがない人も、まずは直近の分で一度作ってみるのがおすすめです。(ただし、いままさに家計の見直しを進めている人は、効果を確かめてモチベーションを保つために月1回チェックするのも有用です)
- 期間は12ヶ月分で見る:固定資産税や年払いの保険のように、1年に1回しか出てこない支出があります。12ヶ月分をまとめて集計すれば、それらも1回ぶんきちんと①に入ります
- 一度作ったら「スキル化」して使い回す:Claude Codeには、手順をスキルとして保存して再利用する機能があります。集計のあとに「この内容をスキル化して」と指示しておけば、次回からは①②の分類ルールを説明し直す必要がありません。あとはスキルを呼び出すだけで分類が走るので、2回目以降の手間はさらに小さくなります
家計の見える化は、続けてこそ意味があります。AIに面倒な仕分けを任せて、自分は「数字を眺めて納得する」ところに集中する。この役割分担が、続けるいちばんのコツでした。
まとめ
Claude Codeで「FIRE用の家計簿」を作った実体験をまとめます。
- 費目別ではなく①②で分ける:①生存費(FIRE後も必須)/②豊かさ費(働き方で調整可)の2分類がFIRE設計の出発点
- 判断するのは費目だけ:1年分(約1,000件)の明細を取得しても、自分が①②を決めるのは費目47行。その判断を全明細に当てはめて集計するところはAIに任せ、約1時間で完了
- 分類の精度は入力時点で決まる:追える単位までは中項目で分け、追えないものは分解しない。この線引きがそのまま集計の質になる
- 2つの気づき:現金は使途が追えない/住宅ローンは集計から外し、代わりに修繕費のみなし積立を①に入れた
- 逆算:①年約313万円 → 4%ルールで約7,824万円、配当手取り3.2%で約9,780万円。②は軽労働で賄うサイドFIRE設計
まず取り組んでほしいのは、直近12ヶ月の費目を一覧にして、①②に分けてみることです。明細は1,000件あっても、費目なら数十行。1年分でも一度に終わります。件数を減らして手をつけやすくしたいなら、まず1ヶ月分から試しても構いません。最後にやることは同じです。そこから先の必要資産の計算は、下記の記事もあわせてどうぞ。
- 配当金生活に必要な資産額を計算する|インデックス投資取り崩しとの比較シミュレーション
- 食品値上げ・固定費見直しをNISA積立に変える順番
- Claude Codeで資産記録を自動化した|出力フォーマットを渡すだけの月次管理フロー
参考文献・出典
本記事の「①②に支出を分ける」という考え方の土台になった、両学長(リベ大)とリベシティを挙げておきます。リベ大は「お金にまつわる5つの力」を発信するYouTubeチャンネル、リベシティはその両学長が運営するお金の悩み相談コミュニティで、私自身も一会員として日々学んでいます。
- リベラルアーツ大学(両学長 公式YouTubeチャンネル) — 「お金にまつわる5つの力」を発信。家計管理・FIREの考え方を学びました
- リベシティ — リベ大が運営するお金の悩み相談コミュニティ
関連記事
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注記: Claude Codeはアカウント登録・利用料が必要です。本記事の内容は2026年6月時点の機能に基づいています。FIREの可否・必要額・税制の判断は家庭ごとに異なり、最終的な判断は自己責任でお願いします。